2009年05月05日

ザ・ブルー・ハーブ/O.N.O@恵比寿リキッドルーム(09年5月2日)

 ぼくにとってゴールデン・ウィーク突入前夜となった5月2日、ザ・ブルー・ハーブのコンサートを観に、恵比寿リキッドルームというコンサート会場に行ってきました。

 ブルー・ハーブのコンサートは2年ぐらい前に一度観たことがあって、今回が二度目でした。場所は同じ恵比寿リキッドルームでした(その時の模様→こちら)。

 ちなみに、ブルー・ハーブというのは日本のヒップホップ・グループのことです。

 MC(ヴォーカル)は、ILL-BOSSTINO(イル・ボスティーノ)という人で、もちろんれっきとした日本人です。BOSS THE MC(ボス・ザ・エムシー)というもうひとつの呼び名もあるのですが、基本的にファンは親しみを込めて「ボス」と呼んでいます。ぼくは、たぶん年上の人っぽいので、「ボスさん」と呼んでいます。
 メンバーは他に、トラック・メイカー(曲を作る人)のO.N.O(オー・エヌ・オー)という人と、ライブDJのDJ DYE(ディージェイ・ダイ)という人がいます。

 開演時刻の19時になろうかという時間に恵比寿に到着。待ち合わせていた友人と合流し、リキッドルームに入りました。

 事前に予想していたとおり、会場に入っているお客さんは怖い人たちでいっぱいでした。
 顔面ピアスだらけの人、全身墨だらけの人、モヒカンの人、パイナップルみたいな髪型の人……。

 「ここが超人オリンピックの会場だ」

 とキン肉マンに嘘を言っても、きっと信じたのではないかと思います。

 そんな超人たちを横目に1Fバーカウンターの隅で友人とダベっているうち、前座であるO.N.Oの演奏が始まりました。O.N.OはひとりでDJプレイというのをやっていたみたいなのですが、ぼくはDJプレイというやつにまったく興味が湧かず、なので、会場の中には入らず友人とダベり続行。
 しばらくすると、遅れてやってきた女子2人組みが

 「オー・エヌ・オー、もうやってるよー」

 と大騒ぎしながら場内へと入っていったのですが、思わず心の中で

 「“オノ”でいいじゃないか」

 と、突っ込んでしまいました。

 「O.N.O」や「BOSS」はもとより、「ZEEBRA」とか、「K DUB SHINE」とか、「Mummy-D」とか、なんの照れも疑いもなくそのまま呼ぶのには、どうも昔からぼくは抵抗があるのです。こんなことだから、いつまで経ってもぼくはアメリカンな人間になれないのでしょう。日々、反省です。

 そして、それから一時間ほどが経った後、ようやくO.N.OのDJプレイが終了。いよいよ本隊ブルー・ハーブの演奏が始まるということで、友人と一緒に場内に突入しました。

 ところで、ぼくには好きなミュージシャンがたくさんいるのですが、そんな中でもブルー・ハーブ、というかボスさんに対する距離感は、他のミュージシャンのそれとはかなり異なります。
 ブルー・ハーブのアルバムはすべて持っているので、そういった意味では「ファン」と言っていいのでしょうが、なんというか、もっと屈折しています。
 もうちょっと具体的に言うと、

 「ボスさん、かっけー」

 などと、素直に感動できるピュアな感性をぼくは持っておらず、もっと斜め上的な目線というか、どうしてもネタ的な視線でボスさんを見てしまうのです。

 もちろん、ボスさんのことは嫌いではありません。嫌いだったらCDを集めないし、ましてやコンサートにも足を運ぶわけがありません。

 かっこいいっちゃかっこいい。でも、なんか面白い。いわば、「かっこ面白い」人。
 それが、ぼくにとってのボスさんなのです。

 みうらじゅんさんという人がいますが、あの人がチャールズ・ブロンソンなどに接するときの温度に近い、と説明したらわかっていただける方もいるかもしれません(全然違うかもしれませんが)。
 
 なので、こんなふうに書くとファンの方が怒ってしまうかもしれませんが、僕はブルー・ハーブのコンサートのことは「説法会」と、ボスさんの言葉は「シャクティパット」と呼んでいます。もちろん、そこに深い意味はなく、単に「面白いから」そう呼んでいます。

 本題と関係ない話を延々としてしまい、申し訳ありませんでした。

 肝心の「説法会」、もといコンサートの内容ですが、この日のコンサートは、ブルーハーブが東京ではじめてコンサートをやった日からちょうど10年目の日だったらしく、ボスさんは歌やMCの最中に何度も「10年」と連呼していました。
 当然、気合が入っていたのでしょう、いつも以上にこれからの自身の活動、そしてグループの行く末を歌の中で鼓舞しつつ、会場にやって来ているダメな人たちに向けてお馴染みの説教(シャクティパット)も炸裂。

 「ちょっとぐらい仕事が出来るからって、いい気になってんじゃねえ」

 友人曰く、そのようなことをボスさんはおっしゃっていたらしい、です。

 らしい、って、お前も観てたんじゃねえのか、というお声もあろうかと思われますが、ごめんなさい。
 ほとんど覚えてません。
 
 疲れていたのです。
 ここ数ヶ月間、私生活的な面でいろいろと慌しく、その疲労のため、コンサートの最中も腰やケツの痛みばかりが気になって、正直、ボスさんどころではありませんでした。
 というか、

 「なんで金払ってのに、わざわざ説教されなければならないのだ」

 と、心にもないことまで思ってしまいました。

 そうこうするうち、腰&ケツの痛みに加え、調子に乗って酒を飲みすぎたため気分が悪くなってしまい、コンサートの半ばが過ぎたあたりで逃げるように退散。その後、再入場することもなく、先ほどいたバーカウンターの隅で、じっと大人しくしているハメになってしまいました。

 しばらくすると、会場内から格闘家として知られる五味隆典選手が友人らしき人と一緒に出てきて、そのまま外のほうへと消えていきました。ぼくは本物の超人を横目に見ながら、

 「やっぱりボスさんのシャクティパットを受けるのは、3年に一度ぐらいがちょうどいいな」
 
 とひとりごちつつ、やっぱり調子に乗ってもう一杯、酒を飲んでしまいました。
posted by とんち番長 at 16:29| Comment(0) | TrackBack(1) | ライヴを観る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月23日

マーズ・ヴォルタ@ZEPP東京(11月22日)

 目下の最新アルバムである『アンピュテクチャー』にイマイチ乗りきれず、ついでに個人的に良好な精神状態とはいえない今日この頃なので、「今回のライヴは100パーセント楽しめないかもしれないな……」などと思っていたのだけど、いやいや、そんな不安はまったくの杞憂に終わったのだった。とにかく、相変わらずの、もう、素晴らしく熱く、そして、この上なく凄まじい演奏! いやあ、も、興奮しっぱなし。本当に、本当に、素晴らしかった。

 とはいえ、いざこの日のライヴについて筆を進めようとしてみると、このバンドのライヴについて言いたいことは、前回・前々回のライヴ・レポートで既に書いてしまったことに気づき、本当のところかなり困ってしまったのが事実である。
 もちろん、今回のライヴの内容は前回からのさらなる飛躍を感じさせるものではあったものの、「とにかく素晴らしい!」という意味では本質的に変わりはなく、まして世間に向けて言いたいことなど自分には基本的にないし、というか自分が世間に向けて言いたいようなことなんて既にどこかしらの誰かが自分よりもキチンとした頭と言葉で世間の皆さんに向かって発言しているだろうし、そのうえ「表現語彙も批評能力も絶望的に欠如している自分のような人間が、ひとつのバンドのライヴについて何度も感想を書きつらねるということは、なんて困難なんだ」という、薄々感づいてはいたけれどあまり深く考え込まないようにと都合よく脳内スルーするようにしていた嫌な問題も否応なしに実感させられてしまった。
 ああ、これは本当に困った! まさに四面楚歌とはこのことだ。
 しかしながら、社会的にいえば天と地の真逆の立場になるが、いろいろの問題でさぞや困り果てているだろう中村獅童の現在の心境が少し理解できなんとなくスター気分になれたので、まあこれはこれで良しとしたいと思う。なにが良しなのか自分でもよくわからないが。

 話をマーズ・ヴォルタのライヴに戻すと、細かいところをつっつけば触れておくべき材料がもちろんなかったわけではない。
 たとえば、この日のなによりの関心事であったのは、やはり最新アルバム完成後にバンドを離れてしまった超人ドラマー、ジョン・セオドアの穴がどう埋まっているか、後釜に座った新ドラマー(正式に決まった人なのかどうかはよくわからんが)の力量たるや果たしていかがなものか? ということだったが、これはまったくの無問題。前任者に負けず劣らずパワフルで凄まじい演奏をぶちかます化け物ドラマーであり、むしろ「スティックさばきの高速度に関してはこちらのほうが上なのでは?」と思えたほどである。
 さらにいえば、今回はパーカッション類の演奏も前回以上に取り入れられていて、楽曲によってはトランペット奏者も混じったそのアンサンブルは、より華やか、かつ、ファンキー&グルーヴィー。その濃厚すぎる音世界の指揮を執るオマー、そして相棒のセドリックのヴォーカルも、当然文句なくかっこよいものだった。
 またこの日は、同じフレーズを執拗に繰り返す新曲(30分以上は演っていたと思う。もしかしたら新曲ではなく、即興演奏だったのかもしれない)も披露したのだけど、それが退屈なんていうのはもちろんなく、むしろ「とってつけたようなサビもギター・ソロもまったくの無駄! マグマの氾濫のようなこの演奏に永遠に狂喜乱舞していたい!」と、絶叫&踊りまくりながらぼんやりとした頭で始終そう思っていたのだった。

 しかし、ライヴだとこれほどかっこいいのに、CDになるとイマイチになってしまうのはなぜなんだろうか。もちろん、CDでの演奏も圧倒的なまでにかっこいいのだが、どうも音質・音響的な面でとても損しているように思える。イマイチヌケが悪いというか、ほんのりダサいというか……だからCDとなると延々と続く音を繰り返し聴きたいとはあまり思えないし、じっさい、ライヴ・パフォーマンスと同等の価値を持ったアルバムは現時点では作れていないと言ってしまっていいと思う。そういった意味で言えば、現時点ではやはりマーズ・ヴォルタの真骨頂はまずなによりもライヴであり、ライヴを体感してこそ彼らの音楽の持つ魅力を100パーセント理解できる……そういったことも声を大にして言いたい。

 ……という感じで、まあ前回・前々回のライヴ評とかなりかぶってしまった部分があるけれど、これが私の限界だ。しかし、そういう意味では今回の文章は限界をきわめたライヴ評ともいえるわけで、ロック好きでありながらもこれまでマーズ・ヴォルタのライヴが未体験で、なおかつ、この文章を読んで「よっしゃ、次こそは観に行ってみよう!」と思っていただけたかたは、次回の来日公演には私がチケットを取るのを困らない程度に、出来るだけ多くのかたが会場へ足を運んでいただきたい。そして、くだらない人間が書きつづった愚かな文章でありながらある意味限界をきわめたこのライヴ評を読んでも、「一度観に行ってみようかなァ〜」とつゆほども思わなかった方は、即刻このページを閉じるかパソコンの電源を切りとっととクソして寝てほしい。


・マーズ・ヴォルタ前々回の単独来日公演(04年1月10日@渋谷クラブクアトロ)について思ったこと→こちら
・同じく前回の単独来日公演(05年2月8日@リキッドルーム恵比寿)について思ったこと→こちら
posted by とんち番長 at 21:23| Comment(0) | TrackBack(0) | ライヴを観る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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