2008年12月11日

キャスティングの大切さをあらためて痛感する――『ネットワーク』

 
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パディ・チャイエフスキー

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 主要キャストであるピーター・フィンチ、フェイ・ダナウェイ、ウイリアム・ホールデン、ロバート・デュバルを筆頭に、出てくる俳優らが揃いも揃って暑苦しいほどに威圧感たっぷりの演技を繰り広げていて、思わず胸焼けしそうになった。

 自らの番組の低視聴率を気に病み、番組内で自殺予告したニュース・キャスターを中心に、テレビ界で生きる人たちのドロドロとした内幕を描いた社会風刺モノ。

 件のニュース・キャスターを演じたピーター・フィンチと、そんな情緒不安的気味な彼を利用し番組の高視聴率化を企てる冷徹女テレビマンを演じたフェイ・ダナウェイは、アカデミーの男優・女優賞をそれぞれ獲得したらしいが、それも納得だ。
 
 なにしろ、こんな特濃ソースばりに濃ゆい演技を見せつけられたら、アカデミー賞のひとつやふたつ差し上げないわけにはいかないだろう。仮に差し上げていなかったら、とんでもないことになったはずだ。この鋭くも威圧感たっぷりの眼差し(上画像参照)で、選考者は一生涯、睨まれ続けただろう。あと、ビデオテープのツメを勝手に折られたりとか、そんなようなこともされていただろう。

 嫌だ。
 そんな経験、誰だってしたくないに決まっているではないか。

 それにしても、本作に限った話ではないが、いろいろと映画を観ていて、あちらの映画は本当にキャスティングというものが的確だなあと、つくづく思う。べつにあちらの映画をことさら贔屓するつもりはないが、これが日本の映画となるとなかなかそういうわけにはいかないものである。

 たとえば、主役が、いわゆる「かっこいい人」だったとする。

 むろん、「かっこいい人」にもいろいろいる。

 かっこよくていい人もいれば、かっこよくて悪い人だって当然いる。さらには、かっこよくて面白い人、かっこよくてダメな人、等、「かっこいい人」にもいろいろなバリエーションがあるわけだ。

 で、じっさいあちら映画は、かっこよくていい人の役には、いかにもかっこよくていい人っぽい俳優を、かっこよくて悪い人の役には、これ以上ないくらいかっこよくて悪そうな俳優を、といったふうに、まさに適材適所な感じで見事にそれを果たしているケースが数多く見られる。で、その結果、「かっこいい」だけではない「なにか」を、映画を観終わった我々は、気持ちよくお持ち帰りすることができるのである。

 そこが、「とにかく、かっこよければすべて良し」みたいな、内容ではなく俳優ありきで作ったとしか思えない作品ばかりが横行する日本映画との、埋めたくても埋められない差であるような気がしてならないわけだ。

 もちろん、そんなものは演じる役者の力量によってある程度はどうにかなるものではあるだろう。
 が、人間には本来から備わっているムードというか「色」みたいなモノがあるわけで、それは、演技とかいう、あくまでもかりそめの表現でしかないシロモノで乗り越えられるレベルの類では、おそらくない。
 その結果として、いわゆる「ミス・キャスト」というのものが生まれてしまうわけだ。

 たとえばの話、本作のニュース・キャスターを、ピーター・フィンチではなくエディ・マーフィ(とりあえず両者の生きている時代とかは無視して)が演じていたらどうか。あるいは、ウディ・アレンだったらどうか。おそらく作品内における重厚かつ硬派なムードも、かなり違ったものになっていたはずだ。
 むろん、エディ・マーフィやウディ・アレンが薄っぺらい演技しかできないグズグズな俳優と申しているわけではない。ただ、この映画の「色」にちょっとそぐわない、と、そういうことだ。
 
 だから、あちらの俳優さんといえば、企業のCMというやつにはほどんど決まって出演しないことになっている。むろん、出演することによって余計なイメージが付くことを避けるためなのだろう。

 じっさい、我が国では、シュワルツェネッガーといえば「やかん」(※1)、スタローンといえば「ハム」(※2)になりかけたことがあった。 
 
 
 ※1〜シュワルツェネッガー@「やかん」CM
 
 
 ※2〜スタローン@「ハム」CM

 まあ、おそらくギャラがバカ高いうえ、

 「どうせ極東の島国のみで流れるCMだからダイジョーV!」

 とかなんとか、安易な気持ちで引き受けたのだろうが、甘い。
 きっと映画のことなどよくわからない田舎のおじいちゃんおばあちゃん方なぞは、いまだに
 
 「あんだって? シュワルツェネッガーだあ? ああ、あのやかんの外人さんね」

 と、そういうふうに認識しているに違いないのだ。
 
 と、ここまで書いてみて思った。
 
 こんな古い映画について語ったところでいったい誰が読むというのだろうか? 
 
 大体、この映画自体、アカデミー男優&女優賞を取っているのに、そこまで知名度があるとは思えないし(じっさい、自分も中古DVDショップで発見するまでこの映画のことを知らなかったし、2ちゃんねるにもスレッドがなかった)。

 なので、わかりやすく説明するためにここはひとつ、『踊る大走査線』を例にして話を進めると、ようするに、織田裕二演ずる青島刑事役を渡哲也が、いかりや長介の役を石原裕次郎が、そしてユースケサンタマリアの役を舘ひろしが演ずるようなものだ。
 
 そんなものは『踊る大走査線』じゃない。
 つーか、それは『西部警察』だ。

 とまあ、ともかく我が国の映画(あとドラマ)はキャスティングに関して、もうちょっとデリケートに扱っていただきたい、と、最終的に言いたいことはようするにそういうことだったりする。

 といって、ハリウッド版『ドラゴンボール』のキャスティングも、あれはあれで相当ひどかったりするが。
 
 『ドラゴンボール』に相応しいキャスティングと言えば、やはりどう考えてもこれだろう。

 『“亀田版”ドラゴンボール』
 
 ぜひ、このキャストで早急に作り直していただきたいと、願ってやまない。
posted by とんち番長 at 20:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画を観る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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