2008年11月17日

デ・パルマ祭り、開催中――『殺しのドレス』

 というわけで、『ミッドナイトクロス』に感動した勢いでレンタルして観たわけだが、唖然とした。

 日頃から夫に欲求不満を抱えていたおばはんが、ボーイハント目的で街へと繰り出し、で、念願叶って手頃な男とコトをいたしたと思ったら、直後に何者かによって殺害される、というなんともマヌケなお話であり、しかも、おばはんが殺されたその理由というのが輪をかけてマヌケな理由だ。

 とくに、美術館でひとりの男に照準を定めたおばはんがその男をおびき寄せようと四苦八苦するシーンは、この映画の中でもマヌケの極地と言えるシーンだが、無駄に凝っていて、そしてまた、意味不明なほどにやたらと長い。

 どんな情熱だよ!

 思わずそう問い詰めたくなってしまったのは俺だけではあるまい。

 しかし、少なくともありきたりなシーンを撮ってお茶を濁されるよりかはずっといいし、無駄と言えば確実に無駄なシーンだが、印象に残ったのもまた事実だ。

 じっさい、そんなこのうえなく無駄としか思えぬシーンについて、こうして30分以上もの時間をかけながら延々と書き連ねている時点で、すでにデ・パルマ先生の術中に見事はまってしまったということなのだろう。
 悔しいが俺の負けだ。

 で、まあ、勝つだの負けるだのどうでもいい問題はひとまず置いて話を戻すと、そんなマヌケなシーンの連続でありつつもサスペンス映画として最後まで緊迫しながら観ることができたのは、やはり独創的でありながらもちゃんと怖いカメラ・ワークの功績がなによりも大きい。
 
 というか、このカメラ・ワークがなければあやうくうんこ映画になるところだったろう。

 そういった意味で、これは、いかにどうしようもなくマヌケなお話であっても、撮りようによってはもの凄く怖いお話にできる。
 そんなことを教えてくれている映画なのかもしれない。
 
 あと、音楽も良い。
 どうしようもなくマヌケな場面であるはずなのに、美しくて儚いサウンドが無駄に緊張感を煽りまくっていて、ひじょうに効果的だった。

 事実、この映画の音楽に笑点のテーマ曲が使用されていたとしても充分ドラマとして成立していたはずである。
 しかしそうはならなかったのは、デ・パルマ先生の目的がコメディ映画ではなくサスペンス映画を撮ることであったからだ。というか、それ以前にデ・パルマ先生が笑点のテーマ曲なぞ知るはずがないのである。

 結局、褒めてるんだか貶してるんだかよくわからぬ文章になってしまった。
 いや、じゅうぶん褒めているつもりなんだが、伝わっているかが心配だ。

 しかしまあ、最後に話を戻すと、現実に起こっている事件にしても、その実、ほとんどがまぬけだったりするわけで。

 たとえば、なにか大きな事件が起きたとき、当然その事件をテレビのワイドショーなんかが取り上げる。すると、そのVTR中には決まっておどろおどろしい音楽が付け加えられているようになっている。
 
 まあ、視聴者の興味を煽るという意味でそれなりに効果的であるからこそああいう演出を行っているのだろう。
 
 しかし、やはりあそこはおどろおどろしい音楽などではなく、笑点のテーマを流すべきなんじゃないかと思う。じっさい、笑点のテーマ曲の方がしっくりくるはずだ。笑点のテーマ曲が無理ならば、藤波辰巳の『マッチョドラゴン』でもよい。

 なにかこれから悪さを起こそうとしている輩も、もし捕まった場合、自分がワッパかけられて警察に連行されていくその映像には笑点のテーマ曲か『マッチョドラゴン』が漏れなく付いてくる。

 これだけで犯罪率は格段に減ると思う。

 
殺しのドレス殺しのドレス
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posted by とんち番長 at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画を観る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月10日

映画ノオト――『僕らのミライへ逆回転』『ホーリーマン』『ミッドナイトクロス』

『僕らのミライへ逆回転』
ジャック・ブラック目当てで映画館へ(公式サイト→こちら)。ラストの場面で不覚にも泣きそうになり、エンドロールでは鳥肌が立った。映画っていいな、と、しみじみ思わされる良作。観たあと無性にモノを創作したくなったし、町外れのあまり流行ってなさそうなレンタルビデオ屋にも行きたくなった。
 
監督は数々の名作PVを世に出したことで知られるミシェル・ゴンドリーで、当然のことながら音楽のセンスも素晴らしい。

それにしても、映画館の窓口で
「すいません、えーっと……『僕らのミライへ逆回転』……」
と口にしたときは、見方を変えれば受付のねえちゃんにプロポーズしているようでもあり、なんだかもの凄く恥ずかしい思いをさせていただいた。まことに残念なことに、受け付けのねえちゃんへのプロポーズは叶わなかったものの、ただ、本当に素晴らしい作品であったことは間違いなく、そんなわけでとくに後悔はしていない。

『ミッドナイトクロス』
なぜだかわからぬが俺という輩は夜のシーンが多い映画が無性に好きだ。
なので、レンタルビデオ屋で借りる映画がとくに決まってないときなどには、タイトルに「ナイト(NIGHT)」または「夜」という単語が含まれてないか、あるいは、それらが含まれてないまでもどこか夜っぽいタイトルではないか、はたまた、パッケージに夜のシーンが大量に写り込んでないか、といったふうにして、俺好みの「夜的映画」を探すようにしている。
 
なぜいきなりそんなことを書いたのかといえば、むろんこの作品の題名が『“ミッドナイト”クロス』(※原題『BLOW OUT』)であり、おまけにパッケージにも夜のシーンが多く写り込んだ、まさしく俺が好む「夜的な映画」であるからで、そんな大量の夜のシーンに加えて、洗練されたカメラ・ワーク、いかにも80年代っぽいちょっぴりチープなムード、悲痛きわまりない物語が混じり合った、独特の哀愁、せつなさが表現された唯一無二の傑作、であると思う。

で、早速、ネットでいろいろ調べてみたら、デ・パルマ先生の最高傑作は、曰く、この『ミッドナイトクロス』と、そして『殺しのドレス』という題名の作品である、とする一部の右翼民、というか右翼か左翼かよくわからないのでようするにファンということだが、とにかくそんなようなことをあーだこーだと主張している輩が結構いるらしい。なので、今度『殺しのドレス』という作品も観てみようと思う。

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posted by とんち番長 at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画を観る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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